断片置き場

小説とか書評とかを書いていくつもりです

YourChronicle

ここ2年くらいYourChronicleというゲームにはまっている。いや、はまったり離れたりを繰り返している。 store.steampowered.com 言ってしまえば作業ゲーで、作業の能率を果てしなく上げ続けるゲームと言っていいが、特筆すべきは(DLCのアートワークを除いて…

不夜島

不夜島(ナイトランド) 作者:荻堂顕 祥伝社 Amazon 参加予定だった読書会の課題図書。この著者の作品は2冊目。 アメリカに負けて統治下にある沖縄という状況は史実とおおむね一緒だが、サイボーグ技術やプログラミング技術が高度に発達しているという嘘が世界…

薔薇船

もう余計なことを書かないで、唐突に書き始めることにした。 薔薇船 (ハヤカワ文庫JA) 作者:小池 真理子 早川書房 Amazon 直木賞作家であり、ホラーの名手の小池真理子によるホラー短篇集。基本的には心霊だが、一部異なるものもあり。 まず「鬼灯」がなによ…

山尾悠子

『小鳥たち』『山の人魚と虚ろの王』と山尾悠子を立て続けに読んだ。 高度な幻想文学について語る難しさをいままさに感じている。何度か山尾悠子について友人に語ろうとしたことがあったが一度としてうまくいったことがない。それは安易なメッセージ性やメタ…

ないはずの未来に今はいる

自分が青かったころは何もかもが嫌で、若いうちに漠然した終幕を迎えると、本気でそう考えていた(あながち無根拠ではなかったのだがそこについては割愛する)。 そのころの発想からしてみると現在の自分は、迎えるはずのなかった未来と言うべきところにいて…

どこかにいるかもしれない

作家との別れはいろいろなものがあって、自分が成長するにつれて(変わらない)作風が肌に合わなくなる場合や、逆に作風が大きく変わってついていけない場合もあるし、(自分にはあまり覚えがないが)作家の作品外での言動が気にくわないとかもあるかもしれ…

怪奇疾走

『20世紀の幽霊たち』、『怪奇日和』に次ぐジョー・ヒル3つ目の短編集。 怪奇疾走 (ハーパーBOOKS) 作者:ジョー ヒル,スティーヴン キング ハーパーコリンズ・ジャパン Amazon 前2巻に勝るとも劣らない、バリエーションにあふれた収録作に大満足。 イギ…

記述する意欲を取り戻したい

1年もほうっておいたところに何かを書く。新雪に足を踏み入れたような心地だ。冬らしい。 本は読んでいる。物語を読むことをやめることはできない。しかし。ここに何かを書く意欲がない。twitterでちょっと何かを言ってだいたい満足する。 1年くらい前から紙…

魔女の話

甲田学人のMissingシリーズは2001年から2007年にかけて刊行されたホラージャンルのライトノベルだ。それが加筆修正されふたたび刊行されることとなった。 甲田先生のファンの一人として多くの人にまたこの作品を手に取ってもらえる機会が来たこと、それは喜…

また本の話をしたいとは思っているがどうしたもんかな

「私は幽霊を見ない」

私は幽霊を見ない 作者: 藤野可織 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2019/08/30 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る ホラー作品を愛する著者、しかし実際に心霊現象に遭遇したことはない。そんな作者が怪談話を蒐集しつつ、どうにかして実際に遭…

ピクニック・アット・ハンギングロック

ピクニック・アット・ハンギングロック (創元推理文庫) 作者: ジョーン・リンジー,井上里 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2018/12/20 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る オーストラリアの奥地で上流階級の少女たちを教育する学院を舞…

夜のリフレーン

夜のリフレーン 作者: 皆川博子,日下三蔵 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2018/10/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 幅広いジャンルを自在に描く皆川博子の数ある短編の中で、今まで単行本に未収録だったものの中から日下三蔵氏が…

いやしい鳥

いやしい鳥 (河出文庫) 作者: 藤野可織 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2018/12/06 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 「爪と目」で芥川賞を受賞した藤野先生の小説、私にとって待ち望んだ文庫化。 「溶けない」「胡蝶蘭」も素晴らしいが、…

月の部屋で会いましょう

月の部屋で会いましょう (創元SF文庫) 作者: レイ・ヴクサヴィッチ,庄野ナホコ,渡邊利道,岸本佐知子,市田泉 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2017/09/11 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る アメリカの作家レイ・ヴクサヴィッチの奇想あふれる…

どこの家にも怖いものはいる

どこの家にも怖いものはいる (中公文庫) 作者: 三津田信三 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2017/06/22 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 見れば見るほど不気味な、夢に出そうな表紙である。ホラーやミステリ、あるいはその融合とも…

恐怖の構造

恐怖の構 造 (幻冬舎新書) 作者: 平山夢明 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2018/07/30 メディア: 新書 この商品を含むブログ (2件) を見る 近頃、映像化されたり(『独白する横ユニバーサルメルカトル』)コミカライズされたり(DINNER)と、ますます勢い…

拝み屋怪談 始末

拝み屋怪談 怪談始末 (角川ホラー文庫) 作者: 郷内心瞳 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店 発売日: 2018/07/24 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 人々の悩みを祓い、無念を晴らす拝み屋。仕事で解決した不気味な話を怪談として仕立てる、…

だから見るなといったのに

だから見るなといったのに: 九つの奇妙な物語 (新潮文庫nex) 作者: 恩田陸,芦沢央,海猫沢めろん,織守きょうや,小林泰三,澤村伊智,前川知大,北村薫,さやか 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2018/07/28 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る 日…

再開するか

ぼちぼち

「黄色い雨」

黄色い雨 (河出文庫) 作者: フリオリャマサーレス,Julio Llamazares,木村榮一 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2017/02/07 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る スペインの作家、フリオ・リャマサーレス著の小説。 物語は、廃村に唯一残った最…

「極悪鳥になる夢を見る」

極悪鳥になる夢を見る (文春文庫) 作者: 貴志祐介 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2017/04/07 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 読みました。ホラー作品『黒い家』やSF作品『新世界より』で有名な作家のエッセイ。 書店でタイトルを見…

再利用

あまり小説を書いていないので随分と放置してしまっている。 blogを消してもいいのだろうけど折角なので再利用しようかと思う。 日々の雑記や読書の記録とかを中心に書いていく予定。 たまに小説も。

ぶちまけた赤

それは、どこかで間違ってもち帰ってしまった赤ボールペンだった。ややくすんだ色だが、古いものなのかもともとそういう色だったのかはわからない。どうやって鞄に入り込んだのだろう…出所のわからないそれを、指で弄んでいて床に落としてしまった。拾い上げ…

カーテン

厚いカーテンを口元に寄せて声を出す、はしゃいでいたわが子が逃げていく。部屋から音が消える。 予想より低くて陰気な声になった。怪物のようで面白い。ホラー映画のセリフを思い出してしゃべってみる。まるで自分でないようだ。迫力がある。 そういえばこ…

坂の祠

あんなところに祠があったとは知らなかった、山を切り開いた静かな道路の横、斜面を少し上ったところに小さな赤い祠があった。 何度か散策にここを通ったが、今までは草が生い茂って気づかなかったのだ。 今日は草が倒されていたから気づくことができた。地…

焼き尽くされたことども

あれからアルバムを捲る時間を作るようにした。 一年のうちで、祝福されるべきすべての日のうちで、あなたにとってのそれが2度目の訪れを迎えたときに記念として買った。 真っ白な表紙にAlbumとだけ金で綴られていた、なんだか寂しいのであなたの名前をその…

燃えがら

うなされている声で目が覚めました。隣で眠る彼は悲痛な顔で少し涙さえ流していました。 昨日は疲れていたのです。私たち二人ともがよく知っていた女の子の葬儀があったので。 部屋の明かりがついたままでした。二人とも出来事の重みに耐えかねて夢へと転が…

はじめに

細々と小説を書いていこうかなと思います 以前はpixiv http://www.pixiv.net/ 近頃はtumblr http://toohigh12.tumblr.com/tagged/novel に短めの小説を上げていました。 ここに移ってきたのは気分転換のためです