断片置き場

小説とか書評とかを書いていくつもりです

「極悪鳥になる夢を見る」

 

極悪鳥になる夢を見る (文春文庫)

極悪鳥になる夢を見る (文春文庫)

 

 読みました。ホラー作品『黒い家』やSF作品『新世界より』で有名な作家のエッセイ。

書店でタイトルを見て手に取り、最初の「針金」を読んで買ってしまったのだが、ちょっと見誤った感がある。

「針金」は自殺名所の団地に取材した際の体験で、なかなかぞくりとする話であった。

こんな話を沢山収録しているのかと期待していたが、結論としてはここが最も不気味であった。

次いで「異形のまなざし」であろうか。国内外の不気味な絵画について著者なりの解釈を述べる、異色のコーナーであった。ベクシンスキーの名前をここで見るとは。

不気味なのはそれぐらい。

カメオ主演が大好きだったり、独りでオリジナル早口言葉を考えたりとコミカルな部分が目立つ。

極悪鳥と題にあるのに、道徳的な話題を扱うときには、著者の倫理感がしっかりしすぎて、遊ぶ場面が少なく面白味に乏しく感じた。

結局、ホラー作家という部分に期待しすぎた私がよくないのだとは思う。